2013/12/19
 社会保険未加入対策への取り組み
1)社会保険未加入問題とは 
 建設業では、下請を中心に、法令によって加入が義務付けられている健康、厚生年金、雇用の各保険(社会保険など)について、企業の未加入、労働者の未加入などによって、法定福利費を適正に負担しない未加入企業が多数存在しています。
 社会保険などへの未加入は、技能労働者の処遇の低下など就労環境を悪化させ、若年入職者が減少する一因となっています。そして、若年入職者の減少により、経験の積み重ねによって磨かれた技能を熟練者から若者へと継承することが困難となり、建設業自体の持続的発展が妨げられることになります。さらにこうした未加入企業は,法律を遵守しないにもかかわらず工事契約にあたって必要経費を負担しないため、コスト低減となり、競争上有利となっているというおかしなことになっています。これは公共工事でも民間工事でも同じです。このようなことが社会保険未加入問題であり、これらの問題を解決し、建設業の持続的発展に必要な人材の確保と、建設工事契約の健全な競争環境を構築する必要があります。
 2)社会保険未加入対策
 (一社)日本基礎建設協会では、国土交通省の指導の下に元請企業に提出する標準見積書を作成し、会員の皆様方は勿論、基礎業界に携わる多くの専門工事業者の方々が、この標準見積書の活用により法定福利費の確保と二次、三次下請企業へも法定福利費を積算し確実に支払う仕組みを確立し、社会保険未加入企業をなくすことを目指しております。
 3)標準見積書
 法定福利費は、現場従業員及び現場労働者並びに工事を請け負った企業の本店、支店従業員の健康、厚生年金、雇用の各保険料の法定の事業主負担額(注1)であります。実際の現場における労務費率は工事の施工条件(工法、地質、周辺環境等)により変わりますが、代表的な算出方法として

1.見積時の工期を基準に1日あたりの平均人数を算出、工期と平均人数、平均賃金を用いて算出する。
2.場所打ち杭4工法を分類し、分類した工法毎に自社データの労務費率(労務費を工事費で除したもの)を工事費に乗じて算出する。
3.労災保険の保険料徴収等に関する法律の各事業種類毎の労務費率を工事費に乗じて算出する。(この場合一次下請企業は元請け企業から預かる法定福利費と二次下請企業に預ける法定福利費の金額に違いが生ずる場合がある。(将来に向け是正するためデータ集積後工法毎の労務費率に変更する必要あり)

 今後は、元請・下請間の契約には見積書の表紙に工事費とは別に内訳明示した法定福利費相当額を確保する標準見積書の活用により、二次下請以下に確実に支払っていく仕組みを確立していくことを目指しております。

 標準見積書記入例(各社の見積書に加えて表示する事項)
 お見積金額【A】+【B】 ○○,○○○,○○○円 
【A】工事費(内訳別紙)(注2)  ○○,○○○,○○○円 
【B】法定福利費     ○○○,○○○円 
法定福利費内訳
【C】事業別労務費率
(上記1の場合は算出された労務費に【D】を乗じる)

【D】法定福利費率 (事業主負担分)





【C】上記2か3を使用する場合の労務費率


【D】下記①~⑤の合計 151.5/1000
 ①健康保険:49.85/1000   ②厚生年金:85.60/1000
 ③介護保険: 4.05/1000  ④雇用保険:10.50/1000
 ⑤児童手当拠出金:1.50/1000
法定福利費計算式  【B】=【A】×【C】×【D】 
※(注1)事業主負担額 : 個人の負担額は入っていません
 (注2)【A】工事費は各社見積による

※ 労務費率は、労働災害保険料徴収等に関する法律の労務率を準用(本協会にて各工法毎の労務率を調査中であり、データ集積後に各工法毎の労務費率に改定の予定)

※ 各保険料率は、毎年度国土交通省が厚生労働省に確認の上、提供された情報を採用する

 ■ 社会保険未加入対策に係る相談窓口
 社会保険未加入対策推進協議会では、社会保険未加入対策を円滑に進めるため、標準見積書の活用への対応と併せて各団体に寄せられる社会保険未加入問題に係る相談や問題、トラブル事例などの「課題」を把握することとなりました。
 当協会では、社会保険への加入を促進するため、社会保険未加入対策促進協議会に協力し、「社会保険制度の適用関係」、「建設業の許可手続き関係」、「経営事項審査関係」、「立入検査・監督処分関係」、「元請による下請指導関係」、「標準見積書関係」、「法定福利費の確保関係」等についての相談窓口を開設いたしました。
 つきましては、社会保険未加入問題に係る諸問題やトラブル等の課題の改善のため、ご活用賜りますようお願い申し上げます。
●お問い合わせ先
 一般社団法人 日本基礎建設協会
 TEL:03-3551-7018 FAX:03-3551-9479
 E-mail:info@kisokyo.or.jp